レザー(革)製品はとってもサステナブル!革として活用し環境への負荷を軽減

レザー(革)製品はとってもサステナブル!革として活用し環境への負荷を軽減

SDGsの達成に向け、アパレル・ファッション業界をはじめ、さまざまな業界でサステナブルな取り組みが行われています。

そのような中、「動物の皮を使用した革製品は、環境に悪いのでは?」という疑問の声も耳にしますが、実はレザー(革)製品こそサステナブルであるということはご存じでしょうか。

この記事では、皮革産業のサステナビリティに関する動向と、レザー(革)製品がサステナブルといえる理由、国内外のサステナビリティ認証制度について解説します。

そもそも、サステナブルとは

サステナブル(Sustainable)とは、「持続可能である」や「長期にわたって維持できる」という意味です。

持続可能性は、現代社会が抱える環境問題や社会問題に対処するための重要なアプローチであり、国際的な取り組みとしても注目されています。

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」では、2030年までに貧困・飢餓・教育・ジェンダー平等・気候変動など、多くの課題を解決することを掲げています。

サステナブルな行動・活動とは、地球環境や社会への影響を最小限に抑え、資源の枯渇や環境破壊を防ぎつつ、人々の生活や経済活動の維持・向上を目指すことといえます。

出典:持続可能な開発目標 | 国連広報センター

レザー(革)産業のサステナビリティに関する動向

経済産業省が公開した「皮革産業振興対策調査」の報告書では、欧米を中心とするファッション業界において、消費行動の基準として製品の価格・品質に加え、製造工程による社会問題への影響を重視する傾向が高まっていることを指摘しています。

サステナビリティもその中で重要な要素であり、環境や動物に配慮された製品や製造プロセスが求められていることが明らかになっています。

出典:令和元年度 皮革産業振興対策調査等|経済産業省委託事業

レザー(革)製品こそサステナブルといえる理由

レザー(革)製品がサステナブルであるといえる根拠は、次の4つです。

  • レザーは食肉の副産物だから
  • 脱炭素(カーボンニュートラル)につながるから
  • 本革は合皮より丈夫で長持ちするから
  • 皮革業界ではサステナブルに取り組む団体・企業が増えているから

一つずつ説明していきますね。

レザーは食肉の副産物だから

そもそも、革製品に使用されるレザーは食肉の副産物であり、革製品のために動物の命をいただくということはありません

革製品の主な原料は、牛(69%)、羊(13%)、山羊(11%)、豚(6%)、その他(1%)の動物の皮であり、99%以上が食肉や毛の採取に利用される家畜動物です。

しかし、日本皮革産業連合会が実施した消費者アンケートによると、天然皮革(革・本革製品)について、62%の人が食肉の副産物であることを知らないという結果がでています。

多くの人が「皮と肉は別々のもの」と認識していることから、「皮革産業の業者は皮をとるために動物を育てて殺処分している」という誤解が広まっているようです。

レザーは、家畜を食肉加工する際に廃棄品になってしまう皮を「革」へ加工した副産物であるため、革は廃棄される皮のリサイクル素材といえます。

出典:知らなかった!エッ、そうなの?|NPO法人日本皮革技術協会 編

脱炭素(カーボンニュートラル)につながるから

通常、家畜からでる皮は産業廃棄物として埋めたり燃やしたりする必要がありますが、皮を「革」として活用することで、廃棄にかかるエネルギーを軽減でき、脱炭素(カーボンニュートラル)につながります

2020年に国内で処理された食用肉は、成牛が105万頭ほど、豚は1,669万頭ほどでした。

一頭の牛や豚からは肉・内臓・皮・骨・脂肪などが得られますが、その中で皮は牛の体重の約8%、豚の体重の約9%を占めています。

仮に700kgの牛の場合、1頭あたりの皮の重さは約56kgです。牛だけでも、年間約5.8万トンの皮が発生する試算になります。

廃棄される皮をレザー(革)製品としてリサイクルすることで、脱炭素を実現できます。

出典:本革は畜産副産物を有効活用したエコでサステナブルな天然素材 | 日本の革

本革は合皮より丈夫で長持ちするから

本革は天然の動物の皮から作られており、繊維が密に詰まっているため、耐久性や摩耗に対する耐性が高く長期間使用できます。

一方、合皮はプラスチックや合成繊維から人工的に合成された素材であり、本革に比べて強度や耐久性が劣ります。

合皮は長時間の使用によって硬くなり割れやすくなりますが、本革は使用するほどに柔軟性が増し、革の表面も味わい深い経年変化を遂げます。

モノを長く大事に使うことはサステナビリティの基本であり、生産や廃棄の際に発生する地球環境への負荷の低減につながります。

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皮革業界ではサステナブルに取り組む団体・企業が増えているから

皮革業界ではサステナブルな取り組みとして、自然環境や働く人の環境への配慮を進めている団体・企業が増えています。

例えば、公益財団法人日本環境協会は日本エコレザー基準(JES)を採用し、革手袋・革衣料・ベルトなどをエコマーク商品として認定しています。

また、皮革製造を行っている山口産業株式会社は、植物タンニンで皮をなめす独自技術「ラセッテー製法」を開発しました。この技術により、従来のクロム(塩基性硫酸クロム)を使用したなめしに比べ、環境や人体に有害な物質の排出リスクを最小限に抑えることが可能になりました。

出典:革製衣料品・手袋・ベルト | 商品の認定基準 | エコマーク事務局
出典:エコレザーとは|ecoleather
出典:
人と環境に配慮する独自のなめし技術 「ラセッテー製法」で持続可能な事業を実現

レザー(革)としての活用をやめるとどうなる?

逆に、レザー(革)製品への活用をしなくなるとどのような弊害があるのでしょうか。ここでは、レザー(革)への活用を辞めた場合に想定される、サステナビリティへの悪影響を3つあげています。

皮の焼却による温室効果ガスが増えてしまう

もし、動物の皮を使って革製品を作ることを辞めると、日本だけでも年間約22.3万トン(東京スカイツリーの重量の約6倍)の皮が残る試算になります。

これらの量の皮を革製品に使わないとすると、主な選択肢は焼却か埋め立てです。

生の皮は水分が多く燃えにくいため、焼却には多くのエネルギーが必要とされ、大量のCO2が放出されます。

また、埋め立てには広大な場所が必要で、皮の腐敗からはメタンや土壌汚染といった新たな環境問題が発生する可能性もあります。

廃棄物としての皮を革製品へ活用することを辞めて、代わりに他の素材を使用すると、新たなCO2の排出源が増えてしまうでしょう。特に石油製品を原料とする合成素材の使用は、プラスチック削減の取り組みに逆行することになります。

結果的に、レザー(革)の活用をやめると、温室効果ガスの増加や新たな環境問題を引き起こし、サステナビリティに悪影響を及ぼす恐れがあります

出典:本革は畜産副産物を有効活用したエコでサステナブルな天然素材 | 日本の革

皮の廃棄費用の増加によってお肉の価格があがってしまう

食肉産業は食用肉品としての利用が主目的であり、食用できない部位は副産物として取り扱われています。

大量の皮が廃棄物として処理されるようになると、皮の廃棄費用が増加し、食肉産業全体のコストが上昇してお肉の価格にも影響を及ぼすと考えられます。

お肉の価格の上昇によって、消費者にとって負担が増え、サステナビリティには逆効果となってしまうでしょう。

品質の高いレザー(革)製品が市場からなくなってしまう

レザー(革)への活用をやめると、品質の高い革製品が市場からなくなることが懸念されます。

レザー(革)は天然素材であり、独自の風合いや耐久性・柔軟性が大きな魅力です。合皮のような代替素材では、レザーの特性や品質を完全に再現することは難しいといわれています。

また、レザー製品には伝統的な製法や技術が多く用いられており、これらの技術を継承することも重要です。

レザー産業における持続可能性に取り組むことで、質の高い製品の提供や技術の継承を実現し、サステナビリティの追求につながると考えられます。

レザー(革)のサステナビリティに関する認証制度

国内外の皮革関連のサステナビリティに関する認証制度を、3種類ご紹介します。

Leather Working Group(LWG)

Leather Working Group(LWG)
引用:Leather Working Group

Leather Working Group(LWG)は、レザー(革)産業におけるサステナビリティを促進するための認証制度です。

LWGは、革の製造プロセスにおける環境への影響を評価し、持続可能な慣行を導入するための基準を策定しています。この基準に適合したレザー製品を製造する工場は、LWG認証を取得できます。

日本でもサステナビリティへの意識が高まる中、LWG認証を導入する企業が増加しています。

LWG公式サイト

Institute of Quality Certification for the Leather Sector(ICEC)

Institute of Quality Certification for the Leather Sector(ICEC)
引用:ICEC

Institute of Quality Certification for the Leather Sector(ICEC)は、イタリアのレザー産業向けのサステナビリティ認証制度です。ICEC認証を取得することで、レザー製品の生産が環境に配慮され、社会的な責任を果たしていることを証明できます。

ICEC認証は、日本のレザー産業においても品質向上と環境負荷の低減を目指す取り組みとして注目されており、製品のサステナビリティを証明するための重要な制度となっています。

Institute of Quality Certification for the Leather Sector(ICEC)公式サイト

日本エコレザー基準(JES)

日本エコレザー基準(JES)
引用:日本エコレザー基準(JES)

日本エコレザー基準(JES)は、日本のレザー産業向けのサステナビリティ認証制度です。この基準は、レザー(革)の製造工程における環境への影響や健康・安全面を評価し、環境配慮と品質の向上を目指すものです。

JES認証を取得することで、企業は持続可能な製造プロセスを実践し、環境に配慮した製品を提供していることを証明できます。

日本エコレザー基準(JES)公式サイト

まとめ

地球環境への負荷を軽減するという観点では、レザー(革)製品こそサステナブルといえます。

レザーは食肉の副産物であり、革製品のために動物の命をいただくということはありません。家畜から廃棄品として発生する皮を加工した「革」として活用することで、廃棄にかかるエネルギーを軽減でき、脱炭素(カーボンニュートラル)にもつながります。

また、本革は合皮より丈夫で長持ちします。モノを長く大事に使うことで、生産や廃棄の際に発生する地球環境への負荷の低減につながります。

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